マカロニ。

おたく魂をぐつぐつ煮込んで

この先は荒野か それとも希望の園か ー4つの旅の果てに―

お題「NEWS LIVE TOUR 2020 “STORY“ ー私のSTORY、私とSTORYー」

 

旅をした。

 

最初は夢の国の旅。

エントランスのスモークの甘い香り、歯車の駆動音。

急く気持ちを悟ったかのように踊る妖精。

登場曲の間奏で私たちを「愛」と呼んでくれた。

石を投げられ続けた外の世界とは180度異なる、力強いファンタジーの世界。

そして確信した歌の力は、私たちの武器となってゆく。

終わらない旅のはじまり、NEVERLAND。

 

2つ目は宇宙の旅。

そこにはたしかに宇宙船があった。

ENCOREでは本当に空を飛んだ。

無重力だって、宇宙人だって、この旅では珍しいことではなく当たり前にそこに存在した。

時空が歪んだ。危機に陥れば仲間の手を握った。

声を合わせて叫ぶ。

「HAPPY ENDING!!!!」

宇宙船も、クルーもいつでも私たちを待っている。

ファンタジーが体験として刻まれる旅、EPCOTIA。

 

3つ目の旅は仮想空間。

ひとつめとふたつめの旅は本当に体験したものなのか?

意図的にちりばめられたかけら達をあつめ、謎めいた仮想空間への興味はふくらんでゆく。

その旅ではなんでもできた。

空飛ぶ船、幻想的な月夜、バワリーで育つドラゴン。

様々なステージを動物の美しさをまとう彼らは跳び回る。

そう、彼らとともに進めばなんでもできるのだ。

果てない可能性を信じた、WPRLDISTA。

 

4つ目の旅は、圧倒的リアル。

曰く、ステージと客席の距離は穏やかに愛を交換できる距離感である、と。

その対岸にいる彼らの、ステージに立つものとしてのリアル。

起きたことをなかったことにせず物語に組み込んだリアル。

歌を歌えずとも、手をいっぱいに伸ばして心を表現する私のてのひらの光。

先の3つの旅の”はざま”を縫うように飛ぶドラゴン。

繋ぎ合わされた三角形の愛をまとい、歌い踊る彼らの、いまの”リアル”がそこにあった。

すべての現実をあたたかく受け入れた無防備なリアル、STORY。

 

 

「完結させる」というのは、大きな責任と労力を伴う。

2017年から始まり、体制の変化もあり、疫病で情勢も日々変化する中、一筋縄ではいかなかったはずだ。

でも彼らはいつも私たちをちゃんと”帰して”くれた。

現実を生きる力をお土産に持たせて帰してくれた。

STORYでも、”旅のその先”へ私たちを連れて行ってくれた。

でも今までと異なるのは、私たちがもらうばかりではなくなった事だ。

私たちは先の旅で愛を渡す術を得た。

愛の交換をして終えた旅。

この先はきっと荒野などではない。

勇気を右のポケットに。強く握りしめた希望を手放すことはもうしない。

そのあたたかい希望を手に踏み出せば、そこはきっと花咲く道になるだろう。

 

 

 

 

君に幸あれ

旅を支えたクルーの話をさせてほしい。

 

2017年の9月、「いのちのうた」の後にJr.の渡辺大輝くんへファンレターを出した。

QUARTETTOから彼を認識していたのだが、NEVERLANDでの彼は別人かと思うほどの存在感だった。

続くいのちのうたでのパフォーマンスも素晴らしく、ステージでも円盤でも彼の姿を目で追っていることに気づき、その所作の感想を往復ハガキにしたためた。

 

ミステリアの狂気、あやめの葛藤、勿忘草の人生…彼の紡ぐ表現はファンタジーの柱としてNEWSの旅を支え続けた。

STORYのチャンカパーナで、彼が2番を歌い出した瞬間は文字通り飛び跳ねた。

終盤の歴代衣装では私の一番好きなJr衣装を着ていてとてもうれしかった。

また会えたことが、本当にうれしかった。

 

2021年2月、突然彼からハガキが届いた。

返事が遅くなったことを詫び、また会えることを信じて互いに頑張ろうという穏やかな筆跡と、詳細は伏せるが彼の思いを落とし込んだ”とある作品”が添付されていた。

 

消印は2021年2月1日。

”とある作品”の作成日は2020年の緊急事態宣言期間。

作品から察するに、ずいぶんと前に退所の意向を固めていたのだろう。

そして幾度も延期を重ねたSTORYが遂に開催される運び*1となり、あのハガキを出した。

渡辺担だけではなく2017年以降とんと手紙を出していなかった私にも、値上がりした送料分の切手を貼り足してまで言葉を届けてくれたという事は、本当に「最後のあいさつ」としてハガキを出してくれたのだろう。

STORYオーラスでの彼の卒業の報を聞いて、辻褄があっていくひとひらのハガキの誠実さに胸が苦しい。

寂しい。

彼をNEWSの現場で見れなくなるのはとても寂しい。

でも彼ならたくさんのチャンスをつかんで、きっとすぐにまた会える。

これからも多くの人が、彼の表現に救われるのだろう。

新たな門出を迎える、君に幸あれ!

 

*1:STORY開催決定を知らせるファンクラブメールは2月10日