マカロニ。

おたく魂をぐつぐつ煮込んで

かながわ短編演劇アワード2022 〜1日目雑感〜

かながわ短編演劇アワード2022 演劇コンペ1日目を見てきました。

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1日目の感想をザクザク書いていきます。

 

※記載は上演順

※団体名「タイトル」

 

 

かまどキッチン「あ、たたかい(の)日々」

ミリな事象、自分内面をムクムクふくらませていく。

実際に7つのSNSアカウントを使い分けているという衝撃の掴み(掴みというか事実なんだけど)、それを板の上で肉を纏って展開させるという試み。属すコミュニティに合わせ、自分の中の倫理観や社会性や欲望を切り分けている、そしてたまにそれらの一つを最悪な気分で全消ししたり。そんな内なる葛藤というか、もやもやとした自己会話をさらけ出してくれる胆力がとても魅力的だと思った。オタクであること、演劇をすることにモニョモニョ自分どうしで言い合っていたけど、こんな言い方はあれだけど存在がとてもエンタメというか悩んでる様が本当に宇宙だし、ビッグバンに祈らずともとても優しい方とお見受けしたので、児玉さんには好きなこといっぱいやって見せ続けてほしい。

演出としてはモニタとスクリーンに情報を出していくのが飽きなくて楽しい。ただ情報量が多いので視線がちらばってしまい、瞬間的に情報の取捨選択をしなければいけない場面も。アカウントも7つあったと思うんだけど、メインとVtuberとエロアカウントが印象つよくてその他ももっと観たかったな。個人的にはスクリーンに流れた児玉さんのプロフィールをじっくり読みたいのでデータほしいです(←好きになってる)

 

 

エリア51「ハウス」

まず役者が圧巻。

小松さんの一発目の所作での集中力のすさまじさ。あれで場を掌握したのすごかった。天野さんのタフさ。ジェットコースターのような感情に加え、数々の奥様シリーズを演じ分け(一瞬で各奥様のひととなりがわかる)、手話、なによりチチとの対峙とバッサバッサとさばいていく姿、そこに無理がないのがすごい。2人の身体の絡まりが、育児と生活のとっくみあいそのもので、後半息が荒くなるのも良い演出となり、でもセリフも動きもブレなくてすごかった。すごかったって何回も言いたい。撒かれたチラシに足をとられやしないかと少し心配したけど、少しのスキマを的確に踏んで駆け抜けてって杞憂だった。すごかった。

黒子の劇中での転換もスムーズ。芝居が継続する中ぬるりと現れ場を作る職人芸かつ、じわっと芝居にも入ってくる。NHKのお給料もらうとこ好き。光の使い方がとてもうまく、空間に感情を充填して媒介してくれる感じが良かった。なんだろ、光のLCLみたいな。最後ママがピンポンしようと思えるきっかけをもうちょい深堀してほしかったけど、芝居でそれに説得力が出てたからいいか。脚本については書きたい事いっぱいあるので後日別記事にします。

 

 

MWnoズ「ROBIN」

「境界線はわからないけど、いつの間にかやらなくなったことって、あるよね」

あるよね。

人前で鼻くそほじるとか、這いまわる蟻を丁寧に1匹ずつ潰したりとか、理想の自分を妄想したりとか*1、雨の日に傘をささずに帰ったりとか。子ども→大人での変化もあるし、昨今のコロナ禍も相まって無遠慮に他人の身体に触れることもなくなった。そういう、あるよね~、って言いながらもすぐには思い出せない、記憶の中を拾いあげていくみたいな、夢の中での探索みたいな感覚を、ダンスを通してイメージを伝えてくれて面白かった。惜しかったのは皆さん声が細く、濡れヒヨコ・パタリロキャシャーン…あともうひと方の役名が聞き取れなかった。私は濡れヒヨコ推しです。

あと放課後の土手とか、チョ待てよとか、モノマネとか、こういう共通認識ってどうやって形成されるんだろうなと考えながら見てた。チョ待てよはもはやインターネットミームの一種だけど、放課後の土手を経験してる現代人ってどれくらいいるんだろ。私は経験してない側の人間だけど、「放課後の土手」ってワードですぐポカポカした感じになるんだからすごいよなあ。

 

 

じゃぷナー観 Japnakan 「EN エン」

エン、円(まるい=球)、縁。

「ことば」、にフォーカスし、多数の言語を滝のようにあびせることで、伝達の手段であるはずの「ことば」の意義と「わからない」を問いかける。ズールー語タイ語を波状発信することで、観客にも「わからない」を体験させていく面白い試み。

アフリカ出身のBonoloさんのズールー語のグルーヴ感、タイと日本のミックスであるShogoさんの境界線の曖昧さゆえの葛藤、言葉を交わしているはずなのに孤独である大和なでしこちゃん、三者のわかる・わからないをことばのキャッチボールの応酬でみせる。起承転結でいうところの”起”で”結”が見えちゃったことと、裸一貫ならぬ”ことば一貫”で挑んだがために視覚的に単調だったことがちょっとしんどかった。四番目の上演で観客の集中力も落ちちゃってるタイミングだったしね…Bonoloさんの夢の話からアフリカでの紛争(そう、日本に利害があるからこそウクライナ情勢をみんな気にするけど、紛争は世界中で起きている)とKAATを繋げるのは上手いと思ったし、馴染みのない言語でも案外わかるもんだなとか、あっココは全然わかんないやとか、試みはとても面白かったので、別のアプローチでも見てみたいです。あと大和撫子ちゃんの背景が察することはできたけど察するしかできなかったので、なんでそんな最初っからキレちらかしとるん…とちょっとぴえんでした。撫子ちゃんがちゃんと笑える日がきますように。

 

 

エンニュイ「きく」

今回コロナ感染により残念ながら辞退とのこと。

楽しそうに稽古をしている姿をTwitterで拝見していたのでとても悔しいかとは思われますが、まずは感染された方がはやく回復されますように、そしてまたどこかで「きく」を見れるのを楽しみにしています。

 

 

おまけ:KAAT 大スタジオ

KAATのアトリウム大好き~!天井高くて解放感あって来るもの拒まずな感じ。併設カフェは以前はランチバイキングやってて好きだったんだけど、さすがにバイキングはなくなってたな。

椅子が硬くてほぼ直角で腰にはあんまり優しくなかったな…ハモ騒動やmuro式.で来た時は感じなかったんだけど、ホールとスタジオでは椅子の仕様もちがうのかな。

今回は席数半減=ひとつ飛ばしだったのでゆったり快適に見れた。傾斜もかなりあるので、フルキャパでもストレスなく見れると思う。

スタッフさんの案内もホスピタリティまごころたっぷりでLOVE。お手洗いも数あってきれい。最高。

そういやNHK横浜放送局と同じ建物なので、今日の公演でもNHKネタ入ってたな。アトリウムに大河とか朝ドラのシーンがドーン!と流れるビジョンもあるので、好きな人は楽しいかも。

 

明日は2日目、公開審査会での講評もたのしみです!!!

配信あるよ!!!3/27 12:00から!!

www.tvk-kaihouku.jp

*1:ごめん私は今でもやるけど