マカロニ。

おたく魂をぐつぐつ煮込んで

シゲのまつ毛は長かった NEWS LIVE TOUR 2022「音楽」

その日、私は口をあんぐり開けてこう喘いだ。

「シゲのまつ毛が、長い」

スタンド最前でトロッコの真下から自担を眺めた感想がこれである。メガネ越しでもわかるあまりのまつ毛の長さに、近くて嬉しいとか、こっちを向いて!とか、ファンサがほしいなどよりも、「シゲのまつ毛が、長い」という衝撃が私の感覚と脳を全て支配した。上手へするすると去っていくシゲを呆然と眺めていく私を慶ちゃんが満足げに眺めていた、ように見えた。

 

ここに集う意味はなんなのか。

いわゆる”おたく”ではない人に現場に赴く意味を伝えるのは非常に難しい。いや、それがおたく相手出会っても難しい。推しをひと目見たいから、近くにいきたいから、ファンサがもらえるから、演習を体で感じたいから、会場の一体感を味わいたいから……集まるひとの分だけ集まる理由がある。自分自身の理由だって、刻々と理由が変わっていく。

 

でもそれをまるっと包括して受け入れて媒介してくれるのが音楽。音楽がなければこうやってここに集うこともなかった。スモークの甘い香りで肺を満たせるのも、見知らぬ隣の席の人と双眼鏡を構えるタイミングが揃うのも、カスタネットで手のひらの肉を挟んでしまうのも、そこに音楽があるから。音楽を奏でてくれる人がいるから。

「音楽」があるから私はここに来た。「音楽」のおかげでここに来れた。この幸せな空間に。

 

そんなことを、シゲのまつ毛の長さを反芻しながら考えた。なんかそれ以上でも以下でもないのだけど、なんかすごく腑に落ちた。私はここに、当たり前のことを確認しに来た。理由とか、責任とか、功罪とか、考え過ぎちゃうことはいちど置いていこう。NEWSを続ける理由が「音楽」なら、私は「NEWSの音楽」のためにここに来た。究極それだけ。そして思いもよらない、シゲのまつ毛の長さという衝撃を手に入れた。ウケる。さあドラムの音を聴け、ここは裏拍だ、周りは表でも気にするな。そこにあるのは確かに「音楽」だから。彼らの「音楽」についていけば、身を委ねれば、これからも間違いないでしょ。