短編小説「インターセプト」がもっと楽しくなるNFL・アメフト豆知識
しきさん主催のシゲフェスへ参加させていただきました。いつもありがとうございます!
読書感想文を書くにあたり、短編集「傘をもたない蟻たちは」の『インターセプト』を改めて読み直しました。
初めて読んだときはその構成にヒョエ~~となりましたが、NFL(アメリカのアメフトプロリーグ)をワンシーズン通して見て少し知識が着いてきたら、すごくアメフト・NFLについて調べて書いたんだろうな〜〜!とか、これ、知ってる人からすると水面下に流れる前提や設定が見えてめちゃくちゃ面白いな〜〜!!とか、多くの見えていなかった点を発見できてますますこの短編が好きになりました。
以下、新参にわかではありますがいちアメフト/NFLファンとして、これを知ってるとより『インターセプト』が楽しめるよ!という小ネタを解説してゆきます。気になったらぜひ試合も見てみてね!
※これより「傘をもたない蟻たちは:インターセプト」のネタバレを多く含みます。 未読のかたはぜひ!↓
【目次】
「インターセプト」が楽しくなる豆知識
◆そもそも“インターセプト”とは
アメフト用語の“インターセプト”は、ざっくり言うとオフェンスチームが投げたボールをディフェンスチームがキャッチして奪うことです。
アメフトのルールは難しい、なんて言われますが、構成自体は野球みたいなものです。
野球は3アウトごとに攻・守でチームが切り替わりますよね。アメフトも原則4ダウン*1と呼ばれる司令塔がパスを投げ、同オフェンスチームの仲間*2がそれをキャッチしてエンドゾーン*3を目指していきます。この時、オフェンスチームは司令塔のパスを邪魔しにいったり*4、レシーバーをタックルしたりと、オフェンスチームがエンドゾーンへ近づくのを阻止するのが仕事です。
その際、QBが投げたパスをディフェンスチームがキャッチして奪う(インターセプト)と、ボールの所有権がディフェンスチームに移り、その瞬間から攻守交替(ターンオーバー)となります。
「まだお前らの攻撃中だったけど、俺達ディフェンスチームがボール獲ったから、お前らのこの回の攻撃はここで終わりな!!」って感じです。インターセプトはディフェンスチームの花形プレイですし、スタジアムも大盛り上がり、試合の流れが一気に変わってしまう重要なプレイです。
◆スーパーボウルとは
アメリカのアメフトプロリーグ=NFLで1番強ェヤツを決める試合だぞ!
NFLには日本のプロ野球のセ・リーグ/パ・リーグのように、アメリカン・フットボール・カンファレンス (AFC) /ナショナル・フットボール・カンファレンス (NFC) の2つのカンファレンスがあります。*5そのAFCとNFCの夫々のカンファレンス優勝チームが戦うNFL優勝決定戦を「スーパーボウル」と呼びます。
アメリカでは
・感謝祭に次いで食品消費量の多い日
・全米歴代TV視聴率のトップ20は全部スーパーボウル
・スーパーボウルの時間の道路はピザ屋のバイクしか走ってない
・ハーフタイムに皆がトイレに行くから水道管が破裂した
・FBIが「スーパーボウルのチケット当選」のウソ情報を流して指名手配犯をおびき寄せる
など、ホントなんだか都市伝説なんだか…というレベルの話がバンバン出てくる程の一大イベント。
優勝決定戦はこのスーパーボウル1試合の一回ぽっきりなのでめちゃくちゃ盛り上がる。チケットの一般発売もほとんど無いし、フィールドから一番遠い3階席でも20万円〜という価格らしいので、日本から見に行った林(しかも中継カメラに映り込めるくらいの良席)は本当に凄いですね。いいな〜。
ワイドショーなどで、レディ・ガガやビヨンセなどがスタジアムでライブしてる映像を見た事がある人も多いと思いますが、あれはこのスーパーボウルのハーフタイムに行われる「ハーフタイムショー」。ビッグアーティストがど迫力のパフォーマンスをみせてくれます。
私のお気に入りは圧巻のフライング芸を見せつけてくれたガガ様!!
Lady Gaga's FULL Pepsi Zero Sugar Super Bowl LI Halftime Show | NFL
これぞエンタテインメント!!!すごい!!!!
ガガのパフォーマンスも最高だし、衣装や演出など、随所にNFLへのリスペクトを感じられるのがとても好きな理由です。Telephoneあたりでビヨンセくるか?と思いましたが、一人で魅せ切ったガガはすごい。そして統率されたペンラ芸にはなんとなく親近感を感じるよね。
そしてパフォーマンスで殴ってくるビヨンセのハーフタイムショー。
渡辺直美があちこちで尊敬を込めたものマネをしているので、既視感ある人多いのでは?
Beyoncé Live at NFL Super Bowl 2013 Halftime Show HD 1080P
彼女の看板商品のひとつであるシルエットを存分に活かした演出&照明がかっこいい!歩いてるだけでカッコイイ!!!振り付けの中で衣装オフするの、ちょっとハロプロみある。
デスチャがそろってハーモニー奏でた瞬間は、ほんと涙でますね。ずっと会場が「ギャーーーーーーーーーーー!!!!!」なってるの超わかる。あと「シングル・レディース」後半の画角も最高ですよね。ビヨンセとダンサーの対比。
NFLのハーフタイムショー、ショービジネス好きな人にはたまらないヤバさの玉手箱なんですけど、何がヤバいかって
・最新の演出技術をサラっと入れてくるエンタテインメントの国:USAの力
・とんでもなく音響の悪い中でパフォーマンスをやりとげるアーティストとスタッフ
・芝の上でゴンゴン噴き上がる炎
・さっきまで試合してたフィールドにドンドコ セットを組みあげて、終わったらサッサカ撤収して、またすぐ試合が始まっちゃう
ところですね・・・震えるわ。その様子はぜひ中継で見てほしい。
今度のハーフタイムショーはジェニファー・ロペス&シャキーラ。
みんな大好き“強い女”のパフォーマンスはめちゃくちゃカッコイイこと間違いないので、ハーフタイムショー目当てにぜひスーパーボウル見てみてね!
2020年2月4日の午前中に日本にも生中継されます!!*6
◆ ピッツバーグ・スティーラーズとテリブルタオル
スティーラーズとは
にわか目線で見ても、わかりやすく「安定して強い」雰囲気のチームです。鉄のカーテンと呼ばれる鉄壁の守備も魅力です。詳しくはとても分かりやすくまとめられているこちらの記事を。
テリブルタオル
小説にも出てくる応援グッズ:テリブルタオル。
こんな感じの黄色いタオルです。ファンは皆持っているので、ホームゲームだとスタジアムがまっ黄色に染まります。
安未果を手に入れて「群衆がタオルで俺をたたえている」、なんて描写がありましたが、林のホームゲームだったはずなのに、その後ターンオーバーされすべては安未果の手のひらで転がされいた・・・というのを肉付けする重要なアイテムです。
ちなみにアメフトの応援で特徴的なものに「クラウドノイズ」というものがあります。
試合中、”ハドル”*7というミニ作戦会議を行うんですが、敵チームがハドルを行う時それを邪魔するために観客が大声を出す、それがクラウドノイズ。
たかがファンの声援と侮るなかれ、その音量は飛行機のジェットエンジンに匹敵することも。スタジアムもクラウドノイズがフィールドに集まりやすいようなすり鉢状に設計されているところも多いです。スティーラーズファンはこのクラウドノイズ時にもテリブルタオルをブンブンします、たのしそう!
◆作中登場したロスリスバーガーとアントニオ・ブラウン
スティーラーズのフランチャイズ*8QB、ロスリスバーガー。高身長にダイナマイトバディ、その大きさから「ビッグ・ベン」というあだ名で親しまれています。
ロスリスバーガーの投げる球を、林が一緒に写真を撮ったというWR*9アントニオ・ブラウンがキャッチする、というスティーラーズの柱となる二人。でした。
作中で安未果が言うように、ロスリスバーガーはちょっとやんちゃで、「もうついていけない!!」とひともんちゃくあったのも原因のひとつなのか、アントニオ・ブラウンはスティーラーズを昨シーズンで去ってしまいました。
新しい移籍先では、
練習後に足を冷やし過ぎて凍傷になって練習できなくなったり、
規格の古いヘルメットを使いたい!とゴネてみたり、
SNSが愚痴垢化しちゃったり、、
と問題多発で移籍先からもリリース。
すぐにペイトリオッツ*10に拾われるも、昔のセクハラ*11を告発されまたすぐ解雇…という激動の半年を駆け抜けました。どうしちゃったのA.B....良いプレイするんですよ、良い選手なんですよ。
アメフトは当たりの激しいスポーツゆえに脳へのダメージが大きく、晩年はやんちゃになってしまう選手も多いのですが、彼もその影響が出ちゃってるのかな。
そしてロスリスバーガーですが、今シーズン始まってすぐに大けがをしてしまい、今シーズンの出場は絶望的となってしまいました。。悲しい。
NFLを見てみない?
NFLというのは海を越えた先のスポーツですが、お茶の間で楽しむアメフトとしては一番手軽です。ゆる~く軽~く楽しむ方法を以下お伝えします!
◆まずはルールをなんとなく把握しよう
アメフトのルールはそんなに難しくありません。以下さえわかっておけばOKです。
アメフトは陣取りゲーム。
パスを投げたり走って球を運んだりしながら、先述した敵陣地エンドゾーンまで球を運べば点数が入ります。敵エンドゾーンに立つ二本の棒のようなものに球を蹴り込んでも点数が入ります。
ポジションも攻撃側・守備側それぞれ、この様に細かくあるんですが、*12
ざっくりいうと、こんな感じの役割です。
アメフトはポジションごとに役割が明確に決まっていて、試合に出てるのに一度もボールを触れない選手もざらに居ます。特にディフェンスチームはそうですね。だからディフェンスチームがインターセプトでボールを奪うと大盛り上がり!なのです。
◆どこで見れるの?
NHK BS-1、日テレG+、DAZN、GAMEPASSにて視聴可能です。
解説も丁寧なので分かりやすい。詳しい放送日程はNFL.JAPANを参照願います。
また、「オードリーのNFL倶楽部」という30分番組が俺たちの日テレで放送されています。
その週の試合をダイジェストで流してくれたり、若林さんが面白わかりやすく戦術解説してくれたりと贅沢でキャッチ―な30分。選手の人となりもわかる楽しい番組です。まずはコレが一番とっつきやすいかな!とにかく見るべし。
もうあれだ、あとはスーパーボウルさえ見てくれればそれでOKです。アメリカンエンターテインメントが詰め込まれた祭りだから!なんとなく見てるだけでも楽しいから!!
◆オンラインサロン:Hedgehogs
ついでの宣伝なんですが、わたくしの推し、ブリリアン コージくんがオンラインサロンを開設しました。
コンセプトは「スポーツを気軽に楽しむ」。アメフトやラグビー、その他マイナースポーツを気軽に楽しく盛り上げていこう!というサロンです。まだ立ち上がったばかりですが、コージくんが毎日コラムを更新してくれるので読み応え抜群。アメフト経験者としての話も興味深い。
今後いろんなイベントを開催してくれるとのこと!
スーパーボウルをコージくんお手製のクレープ*13とともに楽しむパブリックビューイングを開催してくれることを信じて!!います!!!!
◆さいごに
以上、いかがでしたでしょうか?
アメフトをより身近に、「インターセプト」をより面白く感じて頂けそうでしょうか?
ラグビーがW杯をきっかけに素晴らしいスポーツだと気づかれたように、「インターセプト」を通して、アメフトも面白いんだ!と気づいてもらえたら。そしてアメフトファンの皆さんに「NFLモチーフの小説があるんだ!」と気づいてもらえたら。
みんなの「好き」な気持ちが、お互いを盛り上げていけますように!!
*1:野球でいえばアウト4つで交代。)))ごとにオフェンスチーム・ディフェンスチームを切り替えてゲームは進んでいきます。
オフェンスチームはQB((クォーターバック:球をどこに投げるか判断し、パスを出す
*2:走り屋のRB:ランニングバックや、ダッシュ&キャッチのWR:ワイドレシーバーなど
*3:点数が入る、ゴールのようなゾーン
*4:QBサック、ブリッツ
*5:もともと2つは別のリーグでしたが1970に統合され、現在のNFLとなっています。
*6:日テレでは地上波も録画放送してくれるはず、こちらはオードリーのコメンタリーが楽しくてわかりやすいよ!
*7:このハドル時に発する掛け声が「トゥース!!」。オードリーのお二人もアメフト経験者です。
*8:看板選手の意
*9:走って走って、遠くでパスを受け取るポジション
*10:日本野球界でいうところの巨人軍みたいな、金も強さもあるチーム
*11:性犯罪に近かったんだと思う
*12:代表的な陣形=Iフォーメーションを記載してます
*13:コージくんはクレープ屋経営の経験がある